バース、バーセルミ、クーヴァー、ボルヘス、カルヴィーノ、
ピンチョン、ル=グィンらの短編を中心に「語り」に視点を向けて分析!
著者・訳者 |
著者:麻生 享志プロフィール
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ジャンル | 英米文学、評論 |
出版年月日 | 2024年6月28日 |
ISBN | 978-4-86780-049-2 |
判型 | 四六判並製 |
ページ数 | 256ページ |
定価 | 本体2,600円+税 |
在庫 | 在庫有り |
小説の「語り手」は、信用ならない
1960年代の革新性に満ちた「初期ポストモダニズム」。
その時代に書かれた
バース、バーセルミ、クーヴァー、ボルヘス、カルヴィーノ、
ピンチョン、ル=グィンらの短編を中心に
文学作品の根幹ともいえる「語り」に視点を向けて分析する!
◉はじめに ポストモダンとアメリカ文学
ポストモダンの起源/文学におけるポストモダニズム論争/批評家の迷走とバースのポストモダニズム宣言/ジャンルの確立と歴史化/ポストモダニズム研究が示す曖昧さ/文学研究を更新する/イデオロギーの否定と歴史性なき歴史の時代/ポストモダニズム的既視感と郷愁の念
◉序 章 語りの実験場:ポストモダンを語るには
近代小説の登場/ホーソーン、メルヴィル、ジェイムズ/モダニズムの二極化する語り/信用ならない語り手とアウシュヴィッツ以後の蛮行/モダニズムからポストモダニズムへ
◉第一章 語りの枠組:ジョン・バース『びっくりハウスの迷子』(一九六八)
むかしむかし—ビートルズとフォークロア/物語は過去のもの/メビウスの輪と終わりのない物語/カギ括弧つきの語り/「作者」と語り手/「船」と「荷物」—語り手の役割/自己内省的な語り/マクロからミクロへ/「枯渇の文学」と語りの延命/「夜の海の旅」—英雄神話からポストモダンの語りへ
◉第二章 語りを削ぎ落とす: ドナルド・バーセルミ「センテンス」(一九七〇)
「文章」が語る/「レス・イズ・モア」/書くことと日常/言語の身体性/ヴィトゲンシュタインの「痛み」/動く言葉/無限の参照システム/自己言及的なテクストと読者の役割
◉第三章 集団的語りと語りの循環: ドナルド・バーセルミ『雪白姫』(一九六七)
『雪白姫』—ポストモダンの演劇性/「浮遊する語り手」/集団の語りと分裂する意識/雪白姫の本音/語り手はピーピングトム?/語り手失格/のぞきのポール/もうひとりの語り手?/雪白姫は語るのか?
◉第四章 半死の語り手: ロバート・クーヴァー「歩行者事故」(一九六九)
メタフィクションからハイパーフィクションまで/プリックソングとデスカント/小説世界への入口—「ドア」/三人称の語り手と瀕死のポール/トラック運転手と警察官/再び轢かれるポール/最期の瞬間/クーヴァーの不条理劇/ベケットの影/ポールの運命
◉第五章 記憶と語り: ホルヘ・ルイス・ボルヘス「記憶の人フネス」(一九四二)
記憶の話/「わたしは憶えている」/フネスとの出会い/ラテン語を学ぶ/語り手の言い訳/フネスの記憶/ロックの記憶論/拡大する記憶と「直裁的な細部」/ボルヘスとユダヤ/「永遠の幽閉者」/弔いの言説
◉第六章 語りのΔt: イタロ・カルヴィーノ「ティ・ゼロ」(一九六七)
ヨーロッパ発ポストモダン/不思議な語り手/永遠に続く一瞬の物語/ゼノンのパラドックスとデジャヴの世界/経験主義的経験と反知性主義的経験/断片化する空間と連続する時間/閉じた時間と開かれた時間/不変の関係性とポストモダン・パラドックス
◉第七章 語りの終焉?: トマス・ピンチョン「エントロピー」(一九六〇)
謎の隠遁作家/二つの文化/エントロピーの法則/陰謀論的筋書き/カリストの語り/エントロピー化する語り/ミートボールの物語/「マクスウェルの悪魔」/ピンチョンの語り/超全能的なゲーム
◉第八章 AIは語る: アーシュラ・K・ル=グィン『闇の左手』(一九六九)
ポストモダンと女性作家/ポストモダニズム文学の革新性?/ジェンダー的中立とはなにか/「冬の王」におけるジェンダーの書き換え/SF界における女性/他者の世界へ入り込む/開かれたパンドラの箱
◉おわりに レイモンド・フェダマンが語ったポストモダンの語り
ポストモダンの語り/フェダマンの語り/ポストモダンのアフターライフ
◉付録
ポストモダンの諸相
コラム① ポストモダンかポストモダニズムか?
コラム② リオタールの「ポストモダンの条件」
コラム③ ドゥルーズの「セリー」、バースの「シリーズ」
コラム④ 『フィネガンズ・ウェイク』
コラム⑤ ベケットが描く語りの崩壊
コラム⑥ バースとボルヘスと謎の『千夜一夜物語』六〇二話
コラム⑦ ポストモダニズムとジェンダー
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