著者・訳者 |
著者:奥畑 豊プロフィール
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ジャンル | 外国文学/評論 |
出版年月日 | 2021年8月13日 |
ISBN | 978-4-909812-66-7 |
判型 | A5 |
ページ数 | 300 |
定価 | 本体3,000+税 |
在庫 | 在庫有り |
オーウェル、ケストラー、ナボコフ、ゴールディング、カーター、バラード、アップダイク 、ナイポール、ラシュディ、バーンズなど20世紀英語圏文学を丹念に辿り、確たる実態を持たない記号のようにあらゆる場所に遍在する「不在の中心」としての「ビッグ・ブラザー=独裁者」の表象を明らかにする。
「ビッグ・ブラザーがあなたを見ている
(Big Brother is watching you)」
はじめに—フィクションとしての独裁者たち
第一章●独裁者小説の誕生と展開(序論)
—全体主義の時代とルイス、ケストラー、オーウェル、ナボコフ
1 ルイスの独裁者小説—アメリカのヒトラー
2 ここでは起こり得ない?—ナチズム/ファシズムとルイスの預言
3 英語圏における独裁者フィクションの系譜とは?
4 空洞化するイデオロギーと洗脳の問題
—ケストラー、オーウェル、スターリニズム
5 空虚な中心としての独裁者—ビッグ・ブラザーとナンバー・ワン
6 ナボコフ、独裁者、(非)日常—非政治的な政治小説
第二章●スターリニズムとナチズムの寓話—オーウェルからゴールディングへ
1 寓話としての独裁者フィクション
2 『動物農場』におけるナポレオン/スターリン—独裁、言語、文学
3 『蠅の王』におけるジャック/ヒトラー—「人間性の欠陥」とは何か?
4 ナチ化する英国少年たち—「それはここにおいても起こりうる」
5 その後のゴールディング—独裁者フィクションを越えて
6 歴史のブラック・ホール—『動物農場』と『蠅の王』
第三章●冷戦期SFにおける核、独裁者、男性/父権性
—ハートリー、ディック、ヴォネガット、カーター、バラード
1 カーターとバラード、そして冷戦期における独裁者小説
2 核時代と独裁者—ハートリー、ディック、バラード、カーター
3 『ホフマン博士』における二人の独裁者と軍拡競争
—ヴォネガット作品との比較から
4 経済的欲望と軍事的欲望
5 サンプルとネビュラス・タイム
6 カーターからバラードへ—『ハロー・アメリカ』の独裁者マンソン
7 アメリカの独裁者—核兵器と原子力
8 核/原子力を手に入れた独裁者
第四章●アフリカの独裁者たち
—アップダイク、ナイポール、ファラー、ナザレス、アチェベ
1 冷戦期アメリカとアフリカの独裁者—アップダイクとリビアのカダフィ政権
2 アフリカの独裁者たちとフィクションを通じた抵抗
3 ビッグ・ブラザーからビッグ・マンへ—ナイポールと第三世界の独裁者小説
4 「新しいアフリカ」?—ビッグ・マンとザイールのモブツ大統領
5 ソマリアのバーレ政権とファラーの三部作
6 ナザレスの風刺—アミン時代のウガンダ
7 アチェベとナイジェリアの問題
—独裁者表象のアフリカにおける((再)転換
第五章●アジア・イスラム圏における独裁、権力闘争、そして女性たち
—ラシュディのパキスタン
1 (架空の)パキスタン、独裁者、ラシュディの『恥』
2 政治的空間、公共圏、私的空間
3 ラザ・ハイダル政権—近代化かイスラム原理主義か?
4 悲劇の英雄ではない—「私的空間」から見たイスカンダル・ハラッパー独裁
5 暴走するスーフィアの破壊衝動と「恥」
第六章●独裁者の時代に(結論)
—ウィリアムズ、バーンズ、そして二十世紀の終わり
1 冷戦とアメリカの世紀—アップダイク、ウィリアムズからバーンズへ
2 新自由主義、グローバリズム、独裁者
3 一九八〇年代から九〇年代初頭—新冷戦からアメリカの「勝利」?
4 バーンズの企み—東欧社会主義国の民主化と「過去」との決別?
5 結びに代えて—二十世紀と独裁者フィクション
あとがき—ビッグ・ブラザーの「黒い犬」たち
主要参考文献
索引