モリスからロレンス、そして詩人ベッチマンと建築史・美術史家ペヴスナーへと至るアート/インダストリーのデザイン論。
著者・訳者 |
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ジャンル |
英米文学(評論) |
出版年月日 |
2019年4月5日 |
ISBN |
9784909812094 |
判型 |
4-6 |
ページ数 |
392ページ |
定価 |
本体3,400円+税 |
在庫 |
在庫あり |
「人間の魂にはパンも必要だが、それよりも現実の美を必要とする」
ロレンスは、帝国空間を越境・帰郷し、私的所有欲の個人主義の蔓延とは決定的に異なる未来志向の作家であった。
夢を未来のデザインとしてとらえることで、これまでロレンス研究において看過されてきたデザインの20世紀を代表する作家としての〈モダンムーヴメントのロレンス〉の姿が見えてくる。モリスからロレンス、そして詩人ベッチマンと建築史・美術史家ペヴスナーへと至るアート/インダストリーのデザイン論。
モダンムーヴメントのD・H・ロレンス——デザインの二〇世紀/帝国空間/共有するアート
序章 「変化をもたらす社会的エイジェンシー」のモダンムーヴメント
一 はじめに
二 越境・帰郷するロレンス
三 レイモンド・ウィリアムズのロレンス評価
四 ウィリアム・モリスから始まるモダンムーヴメント
五 デザインの二〇世紀に向けて
六 本書の構成
第Ⅰ部 〈アート/インダストリー〉のモダンムーヴメント
第一章 インダストリアル・アートとしての絵画
—— 「壁に掛けられた絵」、クラフツマンシップ、アートの共有
一 はじめに
二 室内装飾品としての絵画と私有財産
三 『建築評論』、編集主幹ヘイスティングズ、クラフツマンシップ
四 〈アート/インダストリー〉のモダンムーヴメント
五 共有するアートのモダンムーヴメント
六 おわりに
第二章 「美の本能」を共有するモダンデザイン
—— ストックホルム博覧会と「ノッティンガムと炭鉱のある地方」
一 はじめに
二 レッセフェール批判とデザイン
三 スウェーデンのモダニズムを導入する
四 レッセフェールの終わりか、「いなかのイングランド」の終わりか
五 「美の本能」を共有する
六 「あたらしいイングランド」という地上のデザイン
七 おわりに
第三章 モダニスト・ベッチマンの〈アート/インダストリー〉
—— 「スラウ」と『建築評論』の「まがいもの」批判
一 はじめに
二 「スラウ」における郊外の「まがいもの」
三 「まがいもの」の反モダンデザイン
四 ベネット、ウェルズ、ショーによるハロッズの広告
五 『建築評論』のハロッズ批判
六 「村の消滅」と国内ツーリズムの「人類学的転回」
七 「メトロポリスの郊外」の「醜悪さ」に抗って
八 おわりに
第Ⅱ部 帝国空間と越境のモダンムーヴメント
第四章 『セント・モア』とトランスアトランティックな越境
—— 帝国、階級、優生学
一 はじめに
二 帝国のイギリス化、イギリスのなかの帝国
三 社会ダーウィニズムと『セント・モア』
四 優生学と人種退化
五 「寄生体」、退化、帝国と階級
六 「寄生体」の修辞的書き換え
七 おわりに
第五章 ハバナに降り注ぐ緑の紙幣
——『セント・モア』と帝国アメリカの地政学
一 はじめに
二 ルイジアナのフレンチ・コネクション
三 ハバナに降り注ぐ緑の紙幣
四 拡張する帝国アメリカのランドスケイプ
五 ケルトとアングロサクソニズム
六 アメリカ優生学、人種混淆、セクシュアリティ
七 人種的純血、ネイティヴィズム、「野生の霊」
八 観光キャンペーン「まずはアメリカを観よう」のアメリカ南西部
九 おわりに
第Ⅲ部 デザインの二〇世紀に向けたモダンムーヴメント
第六章 「キボ・キフトする」ロレンスの中世主義モダニズム
——『ニュー・エイジ』の時代の『チャタレー夫人の恋人』
一 はじめに
二 一九二〇年代の「イングランドの状況」小説
三 「共通の困難」という「わたしたちの時代」の始まり
四 『チャタレー夫人の恋人』から『ニュー・エイジ』へ
五 中世主義モダニスト、フランク・ピック
六 『ニュー・エイジ』のギルド社会主義から社会信用論へ
七 「緋色のズボン」を履くキボ・キフト同胞団の社会信用論
八 おわりに
第七章 ピクチャレスクな都会のイングランド
—— モダンムーヴメントのペヴスナーと景観のモダンデザイン
一 はじめに
二 冷戦構造下の「芸術の地理学」
三 ピクチャレスクのリベラル・イデオロギー
四 モリスの遺産を継承するモダンムーヴメントのペヴスナー
五 ぺヴスナーとペンギン・ブックス
六 二〇世紀ピクチャレスクのタウンスケイプ
七 おわりに
終章 越境するモダンムーヴメント
註
文献一覧
あとがき
索引