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Details of the book書籍詳細

照応と総合
土岐恒二個人著作集+シンポジウム
  • 主要著作をテーマ別に編纂し、一人の寡黙な精読者(リズール)が旅した文学的・文化的な地図を、共鳴する論者たちとともに描き出す。
    著者・訳者
    著者:土岐 恒二プロフィール
    編著:吉田 朋正プロフィール
    ジャンル 英米文学(評論)
    出版年月日 2020年8月21日
    ISBN 9784909812285
    判型 A5
    ページ数 1050ページ
    定価 本体8,800円+税
    在庫 在庫あり
    ボルヘスやコルタサル、ムヒカ=ライネスなどのラテンアメリカ文学の紹介者として活躍し、英国世紀末文学を専門とする学究としても広く知られた土岐恒二(1935-2014)。だが、いかにもストイックな精読者・翻訳者らしく、これまで氏の論文やエッセイは単著に纏められていない。
    本書は、1961年に遡るその主要著作をテーマ別に編纂し、一人の寡黙な精読者(リズール)が旅した文学的・文化的な地図を、彼のテクストに共鳴する現代日本の論者たちとともに描き出そうとするものである。

    【構成】
    第一部:「照応」──土岐恒二の仕事:1961-2015
    1)単行本未収録のエッセイや論文多数に加え、2)これらの仕事に関わりの深い、雑誌等に単発的に発表されて現在入手困難だが、今日見てもなお重要と思われる翻訳業績──ジョイスのブレイク論やパウンドの読書論など、主として20世紀の文学批評を中心とする──を集成する。

    第二部:「総合」──シンポジウム
    内容やテーマの点で第一部と響き合うエッセイを多方面から募り、比較的寡作であった土岐恒二氏のテクストが、多方向に広がった大きな水脈を成すことを鮮やかに描き出す。
    執筆者:安藤哲行、若島正、加藤光也、高山宏、島高行、岡本正明、三宅昭良、高岸冬詩、伊達直之、千葉康樹、富士川義之、松本朗、橋本安央、和気一成、富山英俊、吉田朋正…。
    土岐恒二(1935〜2014)個人著作集

    Ⅰ 詩とオルペウス的総合

    ワーズワースのオルペウス的言語宇宙─未完成叙事詩をめぐる序章
    詩人の出発
    W・B・イェイツの円環思考
    ウィリアム・ブレイクの想像力
    ブレイクと「複合芸術」
    ブレイクの秘教神話
    甦るアルビオン─ウィリアム・ブレイク素描

    Ⅱ 書字と永遠、詩と刹那の神(モメンタリー・ディアティー)

    「精神の旅人」の時間構造
    〔翻訳〕ホルヘ・ルイス・ボルヘス
    「ウォルト・ホイットマン小論」(一九四七年)
    目覚めている夢想─バシュラール『蠟燭の焔』
    “Sunday Morning” を読むためのノート
    『幻想詩篇』傍題
    〔翻訳〕アーサー・シモンズ「ジェラール・ド・ネルヴァル」
    現代英詩における「時」と「永遠」─エリオットとハーディ
    〔翻訳〕ペドロ・サリナス「現実からの逃避─フライ・ルイス・デ・レオンとサン・ファン・デ・ラ・クルス」(一九四〇)
    ヒーニーからスウィーニーヘ

    Ⅲ 索引〈ボルヘス〉(ボーヘイス・インデクスト)

    「神の書跡」をめぐる夢想 ─ ボルヘス小論
    〔翻訳〕ホルヘ・ルイス・ボルヘス「謎を映す鏡」(一九六〇)
    明晰な錯綜 ─ ボルヘスの虚構の構造
    Palimpsesto としての文学─ ボルヘスのObras Completas について
    想像の図書館から
    ボルヘスにおける言語とフィクション
    日本におけるボルヘスの受容
    「詠む」と「読む」

    Ⅳ 〈現代〉の地図 ou l’invention de la modernité

    ウォルター・ペイターの印象批評
    〔翻訳〕ウォルター・ペイター「現代性」(一八九六年)─『ガストン・ド・ラトゥール』第三章
    『ガストン・ド・ラトゥール』への付記
    『ガストン・ド・ラトゥール』の「現代性」
    オスカー・ワイルドの文体について
    世紀末とサンボリスム─シンポジウム『ロマン主義から象徴主義へ』より
    〔翻訳〕W・B・イェイツ「悲劇的な世代」(一九二二年)
    『アクセルの城』と詩人イェイツ
    エドマンド・ウィルスンの批評─ In Honour of Edmund Wilson
    〔翻訳〕ハリー・レヴィン「アーネスト・ヘミングウェイの文体に関する考察」(一九五〇)

    Ⅴ 接続者パウンド

    「玄象」と“Genjo”
    パウンドの詩法 ─ Cathay をめぐって
    〔翻訳〕エズラ・パウンド「いかに読むか」(一九二七─三八)
    エズラ・パウンドのために
    パウンドの詩法とCathay
    〔翻訳〕エズラ・パウンド「ダンテ」(一九一〇─一九二九)
    パウンドを誘惑するプロヴァンス

    Ⅵ 伝統と文化のトポグラフィー

    「伝統」をめぐる断章
    〔翻訳〕E・パノフスキー「われ、また、アルカディアにありき─プッサンと哀歌の伝統」(一九三六年)
    ウォー『よき旅の時代に』When the Going was Good
    〔翻訳〕エドマンド・ウィルソン「イーヴリン・ウォー論」(一九五〇年)
    コンラッド Joseph Conrad (一八五七─一九二四)
    〔翻訳〕W・B・イェイツ「詩と伝統」(一九〇七年)
    〔翻訳〕W・H・オーデン「範としてのイェイツ」(一九四八)
    寓意と幻視─グレイの猫からブレイクの猫へ
    〔翻訳〕クリアンス・ブルックス「歴史と悲劇的要素の意識─『アブサロム、アブサロム!』論」(一九六〇)
    〔翻訳〕フランシス・ハスケル「悲しき道化─十九世紀の一神話に関するノート」(一九七二年)
    現実の地勢から魂の眺望へ─紀行文学私記

    Ⅶ 小説家のラビュリントス、言語錬金術師のアルコーヴ

    『ロリータ』へのマルジナリア
    ルイス・キャロルの言語遊戯・私見
    言語遊戯と文学
    コルターサル『石蹴り遊び』について
    〔翻訳〕フリオ・コルターサル「詩人および短篇作家としてのポー」
    言葉の壁・頁の沼─ロートレアモンとコルターサル
    〔翻訳〕レナート・ポッジョーリ「イワン・ブーニンの芸術」(一九五七)
    『タイピー』論のための短章
    マヌエル・ムヒカ=ライネス─ Manuel Mujica Lainez(一九一〇─八四) 

    Ⅷ ふたりの詩人/文学的双数(クープル・リテレール)

    ジョイスとブレイク
    〔翻訳〕ジェイムズ・ジョイス「ウィリアム・ブレイク」(一九二一年)
    〔翻訳〕ノースロップ・フライ「ブレイクとジョイス ─二人の「探求」と「循環」を巡って」(一九六三)
    ジョイスとDavid Jones
    イェイツとパウンド
    アッシュベリーの「シリンガ」からカーターの『シリンガ』へ
    エズラ・パウンドの目に映った詩人ハーディ─世紀末とモダニズム
    ハーディの詩と小説─ジェラルド・フィンジィの歌曲集『土と大気と雨(Earth and Air and Rain)』にみる
    ハーディ詩のロマネスク性
    パウンドと私


    シンポジウム

    『ボマルツォ』を旅して(安藤 哲行)
    新しさの発見─ナボコフの初期短篇「神々」を読む(若島 正)
    ジョイスとナボコフ(加藤 光也)
    ExtraEditorial─ E・A・ポーのメディア詩学(高山 宏)
    機械としての名探偵─『四のサイン』とシャーロック・ホームズの非人間性(島 高行)
    エドマンド・ウィルソンと「ロシア」(岡本 正明)
    一九一九年─シュペングラーからイェイツヘ、そして(三宅 昭良)
    Till / Until の詩学(髙岸 冬詩)
    戦争詩人による詩の『形= form』とその意味─ Siegfried Sassoon とWilfred Owen のWWI 戦場経験と詩の形(伊達 直之)
    歴史を書く「文人」たち─ヒューム『英国史』を中心に(千葉 康樹)
    吉田秀和の批評精神─『ソロモンの歌』をめぐって(富士川 義之)
    ライフ・ライティングが形成する作者と読者の共同体─M・G・オスル編『ある独り身の女性のノート』と ヴァージニア・ウルフ『自分だけの部屋』(松本 朗)
    告白と祈り、あるいはレイモンド・カーヴァーにおける改稿の問題について─「ミスター・コーヒーとミスター修理屋」と「みんなはどこに行った?」、「風呂」と「ささやかだけれど、役にたつこと」を〈あいだ〉から読む(橋本 安央)
    「黒い死」の悪夢─『夜はやさし』におけるシェル・ショック、トラウマと歴史認識(和氣 一成)
    土岐恒二氏と篠田一士氏(富山 英俊)
    なぜすべての詩は本質的にコピュラなのか(吉田 朋正)

    土岐恒二個人著作集 解説・編集後記
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