ゾンビがいかに「世界的感染(パンデミック)」しているかを鮮やかに「解剖(アナトミー)」するゾンビ文化論!
著者・訳者 |
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ジャンル |
映画/英米文学(評論) |
出版年月日 |
2019年6月5日 |
ISBN |
9784909812124 |
判型 |
4-6 |
ページ数 |
256ページ |
定価 |
本体1,900円+税 |
在庫 |
在庫あり |
なぜ、人はゾンビに魅惑われるのか?
ゾンビが人類を滅ぼす/救う?!
ハーン、グリフィス、ラヴクラフト、ヴードゥー教、フリークス、
ロメロ・ゾンビ映画三部作、POV映画、スティーヴン・キングなどを、
「適応(アダプテーション)」「媒体(メディア)「複製(コピー)」を
鍵語にして、
ゾンビがいかに「世界的感染(パンデミック)」しているかを鮮やかに「解剖(アナトミー)」するゾンビ文化論!
まえがき
序章 ゾンビ映画研究ことはじめ――生きる屍は何を生き返らせるのか
1. はじめに――ゾンビの文化史
2. ゾンビとは何か――『新感染――ファイナル・エクスプレス』と銀幕を通勤するスペクタクル
3. ポーとゾンビ映画のアダプテーション――リサイクリング・オブ・ザ・デッド
4. 古典の劣化/進化論!?
――『高慢と偏見』vs『高慢と偏見とゾンビ』、『鏡の国のアリス』vs『バイオハザード』
第一章 ラフカディオ・ハーンとゾンビ――小泉八雲の多国籍妖怪たち
1. ラフカディオ・ハーンの人と生涯――自分の顔を探して
2.『仏領西インドの二年間』とゾンビ――「わが家の女中」『ユーマ』『魔女』
3. 顔のない顔の後ろに――「むじな」の生体解剖
4. ハーンの多文化的妖怪たち――「雪女」「耳なし芳一」「茶碗の中」
第二章 D・W・グリフィスとゾンビ――『国民の創生』をめぐって
1.ゾンビ映画の原型の誕生――「侵入される家」「死よりも恐ろしい運命」「最後の弾丸」
2.グリフィスの分裂――レイシストかリベラリストか
3. 他者恐怖の進化論――『駅馬車』から『ミスト』まで
4. KKKの解体――もうひとつの「バース・オブ・ネイション」
第三章 H・P・ラヴクラフトとゾンビ――クトゥルフ神話の影に
1.「死霊」という題名をめぐって――『死霊のはらわた』『死霊のえじき』『ZOMBIO/死霊のしたたり』
2. 狂気の山脈/血脈にて――アメリカにおける恐怖の「上空」と「地下」
3. スポーツマンたちの帝国――世紀末の退化論と「死体蘇生者ハーバート・ウェスト」
4. 優生学の名のもとに――「ダンウィッチの怪」「インスマウスの影」「アウトサイダー」
第四章 ヴードゥー教とゾンビ――カリブ海ハイチという恐怖の島
1.恐怖の島ハイチ──人喰い伝説、奴隷の反乱、ヴードゥー教
2.ノンフィクションにおけるゾンビ──『魔法の島──ハイチ』『ヴードゥーの神々』『蛇と虹』
3.『ホワイト・ゾンビ(『恐怖城』)』──「ワーキング・デッド」の誕生
4.ゾンビにされる人々――『私はゾンビと歩いた』『ジェーン・エア』『サルガッソーの広い海』
第五章 ジョージ・A・ロメロのゾンビ三部作分析――生きる屍が警告するもの
1.メアリー・シェリーからリチャード・マシスンへ
――ゾンビ映画の原型として『最後のひとり』と『地球最後の男』
2.『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』の人種と性差――黒人と女性はどちらが生き残る?
3.『ゾンビ』における消費主義――ゾンビとは何者か
4.『死霊のえじき』と右翼化するアメリカ――「ゾンビ・アポカリプス」と「ゾンビ共生物語」
第六章 抵抗する死者たち──ゾンビ表象の変貌
1.THE DEAD WALK――『スリラー』『フリークス』『ウォーキング・デッド』
2.同時多発テロとゾンビ――『ランド・オブ・ザ・デッド』と三項対立
3.トランプ大統領と壁の映画群――『ワールド・ウォーZ』『グレイトウォール』『ザ・ウォール』
4.i Zombie /ゾンビ愛――抵抗と共存と自我のメタファーとしてのゾンビ
第七章 POV映画の文化史――メディアとゾンビの関係性
1.ビデオテープ・オブ・ザ・デッド――VHS的創造力
2.鈴木光司の『リング』/中田秀夫の『リング』――貞子とVHSとコピーの恐怖
3. カメラを止めるな! ――DVDの発明・疾走するゾンビ・POV映画の誕生
4.『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』と映像への欲望
――『ハロウィン』『死霊のはらわたⅡ』『デッド・バイ・デイライト』
最終章 トランプ大統領とフリークスの復権――二〇一七年の三本の大ヒット映画をめぐって
1.『IT/イット――“それ”が見えたら、終わり』(1) ――感染する恐怖
2.『IT/イット――“それ”が見えたら、終わり』(2) ――下水道の七人と「恐怖(テロ)との戦い」
3.『シェイプ・オブ・ウォーター』における四人のマイノリティ――壁を崩すロマンス
4.『グレイテスト・ショーマン』におけるフリークスの行進──「ありのまま」の政治学